再生し続けるニュータウン!ユーカリが丘の視察へ

兼ねてから視察したいと考えていた、千葉県佐倉市のユーカリが丘ニュータウンの視察に行くことができました。一時期は多摩ニュータウンと比較されることも多く、多摩市民の方からも「是非視察に行ってきてください」と言われることもありました。


ご案内くださったのは株式会社山万さん。

1971年から開発に着手し、現在も新築分譲を毎年200戸限定で供給し続けています。

ユーカリが丘ニュータウンはそう開発面積は245ha、総計画個数は8400戸、総計画人口は約3万人という巨大まちづくりプロジェクトとも言えるのです。

この地域においては、まちづくりの主体は間違いなく行政ではなく民間と言えます。

また、民間ディベロッパーが独自に推し進めるというよりも、

市民の声を聞いて、ニーズを汲み取りながら常に「10年先の、その先のあるべき未来に向けて」今この街に何が必要かを議論し開発計画を進めていることがわかりました。


まず、このユーカリが丘は「循環型まちづくりプラン」として、「ハッピーサークルシステム」を構築しています。


これはユーカリが丘版地域包括ケアシステムといえるもので、街の若返りを促すことにより常に活力のある街にしていこう、という取り組みです。


子供時代から、20代・30代、そして家庭を持ってから子育てをする世代、さらに子どもが独立した50代・60代やそれ以上の世代が、そのライフステージごとに「住み替え」がスムーズに行えるよう、「住み替えサポート」を行っています。

中古分譲住宅を、査定額100%で買取して次なる新居への引越しをサポートしつつ、中古住宅はリノベーションをして若い世代や子育て世代に住んでいただくという見事なサイクルが生み出されています。



こちらがジオラマですが、ユーカリが丘の中でもエリアごとに特色があり、地域によっては高齢化率が50%を超えるような地域も出てきていたことから、自治会運営や防災対策の面からも住まいの循環、住み替えの支援を開始したということでした。


この「世代の循環」は街の至る所にその狙いが現れています。

例えば学童併設の高齢者グループホーム。

当初は反対もあったそうですが、反対もあったそうですが、子供たちとシニアが日常的に交わることで、子供たちへ豊かな情操教育を施すことにもつながっているそうです。

保育については当初は認可保育所を建てるにも「今現在市内に待機児童がそんなにいないので」と認可が下りずに、当初5年間は無認可保育所として運営していたというのが最初の保育所でしたが、現在は認可保育所3園、無認可1園、学童保育5箇所という伸びようです。小学生以下の人口は過去5年で34%増加しているということです。


福祉についても、社会福祉法人を設立して、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイサービス、介護付き老人ホームと開設しつつ、印象的だったのはジオラマでその周辺の環境をご説明くださり、「周囲にはケアガーデン、農園や栽培ができる場所があったり、グランドゴルフが楽しめる場所、またお孫さんが遊びに来て楽しんでくれるように月に一度は移動幼稚園も招いています。」というから驚きました。


(コロナのため、現地視察は今回全て控え、本部でご説明をいただきました。)

山万さんがこちらを開発する際に目指したのが、スウェーデンではなくオーストラリアの福祉のまちであるということです。


スウェーデンは高福祉の代わりに高負担ということは有名です。


消費税が25%で、所得に対する租税負担は54.5%にも上がります。


一方オーストラリアは日本と同じ中福祉・中負担の国と言われ、


国家予算に占める社会保障費は国民総生産の8.5%前後と低い水準でありながら、

民間サービスの供給もあり質の高いケアの実践が実現されています。

ここから学び、エリア内に数々の介護施設やホームを立ち上げたそうです。



ニュータウンは、「時代の流れに合わせて、継続的にまた経営的にニーズを汲み取り、柔軟に変化していく必要がある」と、山万さんはエリア内に「ユーカリが丘線」という鉄道事業を1978年に開始しています。

さらには、2002年には「福祉の街」全体構想を発表、

2009年には電気バスの実証実験も独自に開始。

街の住民のニーズを汲み取りながら、数々の事業を並行して行ってきたということです。



電車も乗ってみました。


バスや交通に加え、タウンパトロールという独自のセキュリティ会社は少々持ち出しがあっても住民サービスとして譲らずに継続してきているということや、


住民のニーズを常に汲み取るために、電話やメール、ホームページなどでの情報告知などではなく常に

「戸別訪問をして住民に会って、困りごとやニーズを知る」という努力をされてきているとのこと。

そんなことが可能なのかと、ここが一番驚きました。

そしてこの取り組みの重要性が認められ、現在では「エリアマネジメント」の部署が生まれ、そちらのスタッフが訪問やアンケート、意見交換を定期的に行うため、「今後の街に臨むこと」のニーズ把握に役立っているということです。


住民へ最も必要とされているサービスを届けるためには、どうすればいいか。

それを自問自答しながら、常に先を見据えてまちづくりに取り組んでこられた姿勢に敬服です。


実際には様々な課題もあるということでしたが、

佐倉市平均の高齢化率より2〜3ポイント低く推移している状況や、

子育て世帯が転入が多い状況を見ると、概ね循環についてはうまく行っているようにも思えます。


行政の発想は往々にして縦割りになりやすく、こちらのように「エリアマネジメント」と「交通」「福祉」「教育」「居住支援」「住民サービス」などが一元化されることがなかなか難しいことがあります。

このユーカリが丘の事例から、多摩ニュータウンへ取り入れ、活かしていける施策は是非持ち帰り東京都へ提案してゆきたいと思います。


ユーカリが丘が目指しているCCRCは多摩ニュータウンとも共通する点があると感じています。

CCRCとは「Continuing Care Retirement Community」の略称で、高齢者が健康な段階で入居し、終身で暮らすことができる生活共同体のことをいいます。この概念は1970年代のアメリカではじまったそうです。

CCRC構想とは、健康な段階で移り住み要介護状態になっても住み続けることができるけれども、主体的に地域コミュニティーに参加し多世代と交流するなどアクティブに暮らすことで、できる限り健康長寿を目指すというもので、コンパクトシティ、凝縮されたエリアの中に医療や介護、サービスが内在されている地域包括ケアシステムの形にもつながると考えられます。


シニアも子育て世代も元気に暮らす、多摩地域にもぴったりの概念です。

ただ、ここまで「交流」の場が設けられているだろうか?と言うと、

少し考え込んでしまう自分がおりました。

都営住宅は昨年の予算委員会の質疑で「大学生等の若い世代に転入を促進、代わりに地域活動や自治体への参加を促す」と言う答弁をいただいたこともあり、若い世代の入居や循環には力を入れています。

けれども、住み替え支援となると?

また、交流の場の提供となると?

住民サービスの提供や、ニーズの把握となると?

まだまだ余地があるように思います。

今日の視察で、数々の課題や改善点が上がってきています。



株式会社山万様、

視察の受け入れをありがとうございました。

斉藤れいな(さいとうれいな)公式サイト

東京都議会議員 南多摩選挙区選出 斉藤れいなの公式ホームページです。