真の都民ファーストとは?都市の成長や都民の利益について、渡瀬裕哉さんに学ぶ。

東京みらいゼミで、第二回の講師を招いての勉強会が開催されました。

講師は早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、渡瀬裕哉さん。

渡瀬さんは日本政策学校の理事でもあります。

重鎮の政治家や大手金融機関からも信の厚い渡瀬さんには、

コロナのことがありますます厳しい状況になっている都財政を今後どうしていくかについてを中心に、財政改革や行政改革、またそこに貢献をすることができるような東京都議会になっていくための議会改革のあり方について、お話を伺いました。


結論から言います。いくつも発見した大切な結論のうちの一つですが・・・


「法人税減税と規制緩和が、都市の成長と都民の利益につながる!」

逆の言い方をすれば

「法人税減税と規制緩和をしなければ、国際競争に勝てず、都市は衰退し都民に利益が与えられない」

とも言えるかと。


色々伺った中で自分の心を捉えて離さないのはこのお話でした。

私も10年来細々と法人を立ち上げて毎年法人税を払っている中で、そもそも自治体から課されているその税率を疑ったことはなかったのですが、今日のお話を聞いていると東京・ひいては日本の未来が心配になってしまうほどでした。

規制については、もう・・・私のお世話になってきた業界でも海外で起業、また海外移住をする優秀なクリエイターやアーティスト・起業家も少なくなかったため、これは急がなければ人の流出は止まらないと言うことは肌で感じている部分でもあります。


とても学びが多かった濃い1時間半となりました。

ずばり、「真の都民ファーストとは」つまり、「真に都民益につながる事業や政策を実行すること」。

なのですが、どれが都民益につながるものか・・・と一つ一つの事業を調べていくことは大変な時間と労力がかかることもあり、私たち議員も3年取り組んでいてもいまだに全ての事業の取り組みを網羅できていない部分もあります。


特に東京都の事業と予算規模は海外の一国のものに匹敵するくらい大きく膨大にあることから、「一つ一つの政策について効果や成果を検証するようなやり方では間に合わない」ということが渡瀬さんのお話から透けて見えてきました。


東京都はよく「ワイズスペンディング」という言葉を使います。

財務局の都財政の説明にも、都知事の公約にもこの言葉が入ってきます。

ですが、実際には東京都の予算執行が本当にワイズスペンディングになっているのかどうか、これは完全には検証されていないというのが実情です。

また、今検証されているいくつかのものについても指標がバラバラであったり、1000万円かかっていたところをペーパーレスにして950万で済みました、と言う「節約できた」程度のワイズスペンディングになってしまっているようなこともあります。それはそれで必要なことではあるのですが、むしろその程度のことは検証するまでもなく自主的に取り組む体制になっているべきとも言えます。事業評価の検証は、現時点では労力の割に成果が乏しいと言われても仕方がないことかもしれません。


問題は、東京都の事業評価はいくつかに分かれて行われているということと、またその評価対象の事業は全事業のほんの一部であるということです。


財務局による事業評価、


総務局による政策評価、


政策企画局による2020実行プラン事業実施状況レビュー、

これらはそれぞれ各局が限定的に公表しています。


また2020改革プラン(見える化改革など)に取り組んできた都政改革本部は今ではその議論の継承を今後は政策企画局で行うとされており、都政改革本部会議や都政改革アドバイザリー会議は本年8月に廃止をされています。政策評価の制度の改善などを継続的に議論する場であったので、本部会議が立ち消えとなってしまったことは大変残念です。


また、そもそも「ワイズスペンディング」は「今ある予算を賢く支出する」と言うことに主願を置いているため、そもそもダイナミックに例えば「稼ぐ力を強化する」つまり「予算=都税収入を長期的に見て増やしていけるように取り組む」と言う視点には力点が置かれていません。


そこで渡瀬さんからは、予算の「出口」である各事業について論じることや精査することよりもまずは「入口」である都税収入について抜本的に見直す点がいくつかある、と指摘がありました。

月々の収入が高止まりしていればお金の使い方は変わらないですよね?

収入がもし3分の1、4分の1になれば、自ずと本当に必要なことにだけお金を使うようになりませんか?

おっしゃる通りです。うなづくことしかできません。


「入口を見直す」とは、「収入が一旦減るとしても、中長期的にみて東京都が都市として発展する」ことを目指していく、と言うことです。

いつまでも「短期的に今年これだけの都税収入が必要だ!」と言う視点を持ち続けるのではなく、

「今年都税収入がこれくらいになってしまったとしても、都市として活性化されて住み良い街になること」が実現できたとしたら、都民益にかなっていると言えるのではないでしょうか。


東京都は兼ねてから都市としての発展、国際都市として海外の諸都市に匹敵する競争力をつけることを目指して教育改革・産業振興・女性活躍や多様性の実現、また文化支援などにも取り組んできています。

ですが、例えば世界都市ランキングではロンドン・ニューヨークに次いで総合3位を維持こそしているものの、最新版では経済で北京に抜かれて4位となりました。都内にある世界の有力企業の数や成長率に陰りがあることが要因です。(このランキングでは教育や多様性、文化ももっともっと改善点がある数字が出ていますが、今日は一旦経済に絞って書きます)


グローバル企業の極東本社が、ほとんど東京から北京などに移ってしまっている実状があるということから、これからの東京都に求められる成長戦略の最たるものは、「規制緩和をすること」であるという有識者の指摘は少なくありません。欧米やアジア企業も含めて、東京に本社を置くことになるような政策が大事であろう、ということです。


企業側の立場で言うと、ヒトモノカネに加えて情報の移動も高速かつ容易になっている現代において、「どこに本社を置くか」と考えるときに「どれだけ税制などの優遇措置があるか」「どれだけ規制が少ないか」「どれだけその立地からメリットが得られるか=アクセス面で優位か」等々の要素が関係してくると思われます。


渡瀬さんからは、例えば北京と東京で実効税率が大きく違う、と言うお話しがありました。

実効税率とは、法人の実質的な所得税負担率のことをいい、日本の法人所得税の場合、(事業税の損金算入の影響を考慮した上で)法人税、住民税および事業税の所得に対する税率を合計したものとなります。


財務省のホームページで諸外国の実効税率比較があるので見てみますと、



日本の実効税率は諸外国と比べて高いと言うことがわかります。(29.74%となっていますが、これは標準税率のもので、実際には東京都は大企業が30.62%、中小企業は33.59%となっています)


この表には載っていませんが、中国の実効税率は実質法人所得税のみで25%です。


またこの表で四番手にあるアメリカですが、アメリカはかつて法人税率が35%あったものが2017年12月、「企業や中間層、労働者のためになる」として大幅に21%に引き下げをトランプ大統領が行いました。この法人税減税を受けて、アップルやウォルマートといった大手企業が、アメリカ国内の設備投資や賃上げを発表したと言う効果付きです。


そのほかにもイギリスは2019年時点で19%の法人税を2020年4月以降に4月以降に17%にするとしています。

フランスでは2019年時点で33.33%だった法人税を2020年には25%とするとしており、世界的に法人税率は「引き下げ傾向」のトレンドの最中にあると言えます。(現在、2020年3月時点で歳出増大を理由に引き下げの段階的延期が発表されています。)


アジア諸国も見ていくと、日本の法人税率が決して低いとは言えない現状がこのまま維持されることが、国際競争において国内都市の競争力を阻害することに加え、日本国内に拠点を持つ日本企業が不利になってしまうと言う可能性にもつながります。


税率を下げると言うことは、一時的に行政の扱える予算収入が減ってしまうと言うことはありますが、その効果として

海外企業の誘致や国内企業の振興、また従業員の処遇改善が進むこと

行政の収入源による喫緊の課題としての政策・事業見直しインセンティブが働くこと

この二つがあるだけでもかなり大きいと思います。


今日のお話を全ては書ききれないほどですが、

「行政そのものには予算削減や事業見直しのインセンティブは働かない内部構造がある」と言うお話もありましたので、、(これはかいつまんで簡単な言葉で言うと、「そもそも行政組織というところは予算を削って評価される人事制度ではない」ことが大きな原因の一つであるようです)、財政改革には同時に行政改革と規制改革、また予算編成などにもこうした意見や懸念を物申していける議会機能強化が求められる、という三本の矢が同時に放たれる必要があるということを確信するに至りました。


・抜本的な財政改革にむけた法人税の減税

・国際競争力を上げるための各種規制の緩和

・人事評価制度の見直しも含めた行政改革

・予算編成や政策評価につながる議会改革


四本ありました・・


近々、「各種規制の緩和」についても、ブログに取り上げてみたいと思います。


渡瀬裕哉さん、貴重なお話をありがとうございました!

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