市場の可能性について考える②サスティナビリティと、経営戦略について。

公営企業決算委員会の中央卸売市場の質疑の日でした。

昨日に引き続き、私なりに様々なところでお話を伺ったり、これまでの視察等も通じて感じてきたことを述べさせていただく貴重な機会となりました。


中央卸売市場というと、

ここ数年、「築地か豊洲か」どちらにするんだという議論や報道に翻弄されてしまい、市場機能強化や市場会計の持続可能性について本質的な議論が脚光を浴びることは少なかったように感じてしまいます。

まだ開設する前の豊洲市場を視察させていただいた際にも、

豊洲市場の歴史的な背景からくる立地の課題や土壌汚染への対策の話に同行した多くの参加者から質問や関心が集まる中、

本来、市場の持つ強みがどうしたらこの豊洲をはじめとして、今後東京都の11の市場全てで伸ばしていくことができるのだろうか、というような点について中央卸売市場が事業者の皆さんとともに地道に取り組んでこられている点については、なかなか取り上げられてこなかったのかもしれない、と思ってしまいます。


東京都に限らずですが、市場は昨今の消費者ニーズが多様化し、例えば市場を通さずに地元の食品を生産者から消費者へ直接販売をする例もあることなど(地産地消の人気が高まっている)や、ICT化が進み市場外流通がシェアを伸ばしているという背景もあり、取扱量は年々減少しているということは共通した課題となっています。


一方で、いまだに農水産物の総取扱量に対する市場取扱量のシェアは未だ約5割ほどということで、まだまだ市場ならではの強みを求めて、ここに集まる農水産物(花きもですが)は少なくない、と言えます。


では、市場に求められている役割(強み)を今後どう伸ばしていけるのか、

また市場の強みを活かして農水産物消費や流通そのものに市場が果たしていけることはどのようなものか、

その観点から、本日は昨年の森澤都議の事務事業質疑から引き継いだ内容も含めて、現在中央卸売市場が取り組む経営戦略の策定についてや、サスティナブル・シーフードなどに代表されるエシカル消費について、質疑で取り上げさせていただきました。


経営戦略は昨年度末までに、大田、淀橋、北足立、葛西市場で策定したものが東京都のホームページでも見られるように公表されています。



それぞれの市場は立地や規模、環境や設備などにもそれぞれ特徴があるため、個別に「強み」「弱み」また持っている「機会」と課題となる「脅威」について検証され、その強み弱みを知った上でいかに今後の経営戦略や指針に活かしていくか、という心臓部分となるようなものがこの経営戦略ではないかと思います。


これを見ていくと、例えば低温設備がまだ十分整備されていないという弱みを持つ市場と、逆にそれがもう整備されていることが強みになっている市場があるなど、見ていて違いが明らかなので大変興味深いです。


この経営戦略を作って公開するにあたり、きっと様々な意見や議論があったことと思いますが、特に「弱み」や「脅威」の点をしっかり検証できていることがわかる市場は、今後その弱みを克服していくことが現実的になるのではないかと期待をしてしまいます。


また、弱みが共通認識として共有できている場合、次の克服や改善に向けた動きも調整しやすいはずです。

引き続き、全ての市場でこの経営戦略が策定されていくことや、これに伴い市場ごとの強みの強化・弱みの克服が目指されていくことを注視して見守りたいと思います。


市場ごとの取り組みを俯瞰する中央卸売市場には、

ぜひこの経営戦略を全体としてみたときに「どの市場も共通して課題・脅威として捉えていること」については都として何ができるかを検討していっていただきたいと思います。

例えば、本日意見として申し上げた一貫パレチゼーションの導入検討なども含めた物流改革などは、作業時間短縮と市場の効率化・合理化に向けてぜひ進めていただきたいうちの一つです。


また、今回自分からの思いを込めたテーマとして質疑させていただいたのが、サスティナブル・シーフードをはじめとする持続可能な食のあり方について、市場を起点として起こしていけるアクションやムーブメントについてです。


いわゆる「エシカル消費」とまとめてしまうとかなり幅が広くなりますが、

持続可能な農水産物の消費と生産について、

消費者側のニーズはすでにかなり高まり始めていることもお伝えしつつ、

水産物の第三者認証取得支援の昨年度の取り組みなどについて伺いました。


第三者認証は以前エシカル協会の末吉代表から伺いましたが、MSC認証やASC認証と言ったエコラベルの付いた商品は消費者から選ばれる人気の高い商品となり始めているということがあるそうで、これはイコール海外販路開拓にも結びついていくことが期待されます。


この認証の基準をクリアするには、生産における業者スタッフの働き方なども含め、環境への影響や配慮がどのようになっているかなど、多岐にわたりチェック項目があります。

なかなか、長く生産を続けてこられた生産者の方々には転換が難しい事情や状況がありそうなので、この転換に向けて必要な支援のあり方をぜひ中央卸売市場にも今後ご検討いただきたいと思ってしまいます。


最後に、本日の質疑や発言の全文を載せておきます。

意外と、ご興味のある方が読んでくださりご意見をくださることもあるので、自分もそう言ったご意見からも学ばせていただいています。


今回初めて直接の質疑にあたり、様々にやりとりをさせていただいた中央卸売市場の職員の皆様の実直さが大変印象的でした。どこの局の方にも共通することかもしれませんが、何か大きな課題や問題への対応が迫られる中でも、その対応に加え、やるべき仕事を粛々と進めている方たちがおられます。この地道に進めていかれる部分を阻害しないよう、こっそりエールを送らせていただきたいと思います。


(質疑全文)


2015年9月の国連サミットで採択されたS D Gs、持続可能な開発目標は2030年までに達成すべき17の国際目標のことです。その14番目の目標は「海の豊かさを守ろう」というものです。海の豊かさ。正確に読み上げますと「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」という目標です。日本の漁業の未来のために、今東京都中央卸売市場ができることは何か、という観点から、質疑を行わせていただきます。

漁獲高が減り、漁業が衰退していると言われる日本で、釈迦に説法ではありますが中央卸売市場での水産物の取り扱いも平成10年度には360万2千トンが平成23年までに141万6千トンにまで落ち込んでいます。これは世界的な潮流なのかと思いきや、先進国の中で漁業が衰退しているのは日本くらいで、逆に漁業が成長しているノルウェーなどでは漁獲量は10年ほどで2割ほど増えるということです。ノルウェーは水産物輸出も伸び続け、2000年に約五千億円だったものが2013年には倍の約1兆円にまで達しており、漁業大臣は今後2060年までに現在の10倍を達成できる可能性を示唆しているそうです。同じ地球でなぜノルウェーと日本、こう差が出てしまっているのか、それは漁業規制のあるなしである、ということを伺いました。これはどちらに規制があるかと言いますと、漁獲量の多いノルウェーの方に規制があります。漁獲をして良いとされる数量や海産物の年齢に規制があるため、乱獲でまだ幼い稚魚や幼魚をとってしまうようなことが起きず、その規制により資源を管理し、価値を早出していくことのできる漁業が実現しているということです。食べない、取らないというのではなく、長く食べ続けていくことができるように、サスティナブル・シーフード漁業のあり方を漁師さんたちの暮らしも支えながら構築していくことが求められています。そこで、このサスティナブルの考え方を包有するエシカル消費について伺います。

【エシカル消費について】

①中央卸売市場におけるエシカル消費の普及啓発の取り組みについて、どのようなものがあるか。(令和元年度)

○ 都民に対する普及啓発については、中央卸売市場の持つ生鮮食料品等の流通に関する機能や役割を伝えるとともに、市場関係者との連携による「食育」・「花育」や被災産地の支援を目的とした取組も行なっている

〇 令和元年度は、小学生向けのこどもいちば教室や、夏休み親子見学会、肉料理講習会などの講習会等を19回開催し、566名の参加者があった。このような機会を捉えて、市場の仕組みを知ってもらうとともに、市場関係者の協力により、旬の食材の見極め方や適切な調理方法などを周知

〇 また、10月に開催した5つの市場まつりにおいては、中央卸売市場のPRに加え、被災産地の支援を目的に都が展開する「ふくしま⇔東京キャンペーン」の一環として、福島県PRコーナーを設置し、福島県産農産物に関するパネル展示や福島米に関する企画を行うなど、福島県産品に対する理解促進を図った

エシカル消費はとても幅広の意味合いを持っている言葉でして、その商品が生産から販売までどのような工程でどのような環境で働く方々により提供されているのか、と言うサプライチェーンの起点から終点までを追跡できるトレーサビリティが今消費者の中でも大変注目されています。どれくらい注目されているかと言いますと、すでに昨年令和元年度から、全国的に女性誌がこぞってサスティナブルをテーマに取り上げ、ファッション誌VOGUEやSPUR,ママ雑誌VERYなどでもファッションを始め食のサスティナビリティを取り上げ、エコラベルつき商品や認証マーク付き食品を紹介するページなどもあると言う状況です。今、消費者は動き始めています。生産者ももっともっと動けるように市場にできることを積極的に展開していくべきではないでしょうか。今のご答弁では市場まつりなどについてもお答えいただきましたが、例えば横浜の中央卸売市場ではエシカル消費講座と銘打って、エシカルに特化して市場でイベントを開かれていることもあります。ぜひ今後はサスティナブルな食をテーマにイベント開催や普及啓発を行っていただきたいと思います。

次の質問です。

②海のエコラベルと言われるMSC認証や、ASC認証などの第三者認証の取得についてどのように支援を行っていますか。

○ 令和元年度から実施している中央卸売市場活性化支援事業では、市場業者の品質・衛生管理に係る第三者認証取得を支援対象としており、水産エコラベルであるMSC(海洋管理協議会)認証やMEL(マリン・エコラベル・ジャパン協議会)認証等の取得についても支援

○ 昨年度は本事業を活用し、業界団体が、組合員向けの輸出セミナーの一環としてMEL認証の取得促進を図る取組を実施

認証取得支援の取り組みの具体例についてお答えいただきました。M S C認証の方はあまり広がりがまだないのかもしれないですが、MEL認証の方は業界団体主催でセミナーを行われて取得促進に勤められたということです。 ぜひ今後も積極的にこの活用を働きかけていただきたいところですが、現状懸念されるのは新たに認証を取得するために動き出すための意義やモチベーションが事業者の皆様に共有されていないのではないかと言うことと、また今回コロナのこともありますので、その余力が残されていない可能性についても考え、今後どうしたら事業者の皆様が第三者認証の取得に取り組んでいけるのかと言うことを、ぜひ主体的に中央卸売市場が考えて行ってほしいと思います。

実はこのエコラベルや認証マークについて教えてくださったのは長年エシカル消費の普及啓発に取り組む民間の方でした。実際に東日本大震災の後に、津波で養殖設備の全てを流され、ゼロからのスタートとなった宮城県石巻市では2018年には県内養殖の6割が認証を取得したということです。震災以前は、狭い範囲に過密で環境負荷の高い養殖を行っていたということですが、持続可能な漁業を作るため、養殖施設を震災前の3分の1に減らし、牡蠣の品質を上げ、その結果漁業者の皆さんには休みを取る余裕が生まれ、収穫までの期間は3年から1年へと短くなり、取れる牡蠣の実がとても大きくなったという結果が出ているそうです。こう言った好事例から学べることは多くあるのではと感じています。何かきっかけがなくては、こういった大々的な方針転換は難しいのかもしれないですが、持続可能な漁業や農業を応援したいと考える消費者も増えていることをぜひ積極的に事業者の皆さまとも共有し、必要な支援を行っていっていただきたいと思います。

来年、東京では2020オリンピック大会が開催される予定です。 2012年に開催されたロンドンオリンピック大会は持続可能性をテーマとして、最もサステナビリティに配慮したオリンピックとなったということです。会期中に提供する食事についても食材調達方針にルールを作成し、資源が枯渇しているものは取り除く、環境に良いものを推奨、などを盛り込んでいます。この結果、スポンサー企業や団体に加え、政府公営施設や学校なども率先して取り組み、イギリス全土の公営施設の1/3にサスティナブルシーフードが導入され、大会開催後も国や地域にサスティナブルをレガシーとして残すことができたということです。

国内ではパナソニック株式会社が日本初、社員食堂でMSCおよびASC認証水産物の提供を開始し、社員の家族をはじめ消費者の変革への転換点となることや、それに伴い業者や養殖業者が認証取得をする動機にもつながることが期待されています。2019年の消費者庁の調査によると、エシカル消費に興味を持つ人は前回の2016年の調査に比べ1.6倍になり、対応する商品を購入したいという人は8割に上っています。消費者の意識の変革の動向も注視していただきつつ、都として学校を所管する教育庁やエシカル消費普及啓発に取り組む生活文化局や、産業労働局とも連携し、サスティナブルなシーフードやサスティナブルな市場を実現していっていただきたいと申し上げ次の質問に移ります。

【市場のあり方について】

④(昨年事務事業で森澤都議答弁より)豊洲市場は施設特性を生かし、新たにHACCP認証取得や海外販路開拓といった取り組みを進めているという答弁をいただいておりましたが、令和元年度にこういったことにおいてどれほど補助実績があったと捉えているか伺います。

・豊洲市場は、高度な品質衛生管理が可能な閉鎖型施設として整備され、加工パッケージなど新たなニーズに対応できる設備です。

・施設特性を生かし、市場業者は、衛生管理の強化や海外への輸出拡大に取り組んでいます。

・昨年度は、HACCPを含む国際認証の取得には、合計8件に対し、約2,200万円を支出しており、海外販路開拓に向けた取組には、合計7件に対し、約2,800万円を支出しております。

昨年度の補助実績はそれぞれお答えいただくことができました。では、

⑤海外への販路開拓について、令和元年度に中央卸売市場活性化事業で支援した内容について伺います。

・活性化支援事業では、海外販路の拡大等、市場業者の意欲ある取組を支援しております。

・豊洲市場における海外販路の開拓に向けて支援した内容は、業界団体主催による輸出セミナーや海外バイヤーとの交流会、また、海外の展示会への出展などを行っております。

(意見)この海外販路開拓やHACCP認証取得は、例えば昨年度スタートしたものが今年度以降どのように実を結んでいくことができるのか、を定量的に測ってゆくことも必要と考えますが、今年は新型コロナという想定外の大変厳しい現実がやってきてしまうこととなりました。海外販路開拓の事業継続にあたっても、事業者の皆様は大変ご苦労されていることと拝察します。このセミナーや交流会はとてもいい手応えを得ていた、というような感想も事業者の方々から出ていたというふうに伺っています。全世界的に、流通や貿易が通常の状態に戻ることができるようになるまでには時間を要するかもしれませんが、昨年度のこのコロナ以前に取り組んでいた活性化事業の内容については成果を今年来年で測っていくことは難しいという前提の元、ただし、その取り組みによりどんな展望を描いていけるのか、という将来的な可能性の方に光を当てて、今後もぜひ継続して取り組んで行っていただきたいということを要望いたします。

最後に経営戦略についてお伺いします。

⑥第十次東京都中央卸売市場整備計画では各市場における戦略的な機能強化が求められているとされているが、多摩ニュータウン市場も含め、現在経営戦略が建てられている大田市場と淀橋市場以外の市場について令和元年度に経営戦略の策定に向けてどのように取り組んでこられたか伺います。

・令和元年度は、大田市場水産物部、北足立市場、葛西市場において、経営戦略を策定しました。

地元の市民の方からは、多摩ニュータウン市場が「場」として、地域で果たしてくれている役割の大きさなどから、今後市場会計全体では大変厳しい状況が続いていく中でもぜひ市場ならではの強みを活かして行ってほしいというご要望のお声をいただいてきました。東京都と業界代表者の方との会議体でこういった強み弱みを整理し、経営戦略として策定されていくということですので、さらに多摩ニュータウン市場も含め取り組みを進めていただけるようお願い申し上げます。

⑦またその検討状況の見える化についてどのように取り組んでこられたか伺います。

・経営戦略の検討にあたっては、都と業界代表者の間で共有するとともに、策定した経営戦略は、市場のホームページなどを通じて広く周知している。

東京都のホームページを私も見させていただきました。すでに大田、ヨドバシ、きたあだち、葛西市場の経営戦略が見られるようになっていますが、それぞれの市場の立地や特徴からSWOT分析を行い、強みと弱み、そこから得られる期待できる機会と脅威となっている実情などについてそれぞれ整理されていることがわかりました。特に大田・ヨドバシに関しては本文資料も公開されていて、分析にあたり多岐にわたって状況把握や数値検証が行われていることがわかります。今後はこの経営戦略に基づいて導き出された戦略オプションから、具体的な取り組みを実施されていくと思いますが、目的や定量目標を具体的に設定することや、企業などの組織体と違い様々な主体が入り混じる「場」である中央卸売市場ならではの、システムやツールの共有に関する課題を克服していくことなど、実際の経営計画の策定へと落とし込んでいく作業にも期待を寄せたいと思います。

卸売市場会計は市場外流通の増加や地産地消の増加もうけ、年々取引量が少なくなっていくものの、いまだ農水産物流通全体に占める卸売市場取引量シェアは約5割あると言われています。また、これだけICT化が進み卸売市場に依存しなくてもやっていける出荷者や産地業者がいる時代でも、市場の代金決済機能はとても重宝されているということや全国各地向けに転送する荷の集散地としての役割を持つことなど、東京都の市場の強みはまだまだあると考えられます。この市場の強みを活かし、一方で物流面の課題などを解消していくために、例えば人員コストの削減や作業時間の短縮を目指し一貫パレチゼーションの実現に向けてパレットの標準化や回収システムの確立をいかに行っていくかを検証することなどを活性化支援事業において取り組んでいただくことなども、今後検討の余地があるのではないかと考えております。食文化の集積地として、規制を強めることや、場として活用していただける機会を減らしてしまう恐れのある施設利用料を積み替えのみの業者の方からもとるようなことではなく、いかに活気や賑わいが溢れる市場を作っていけるか、これは中央卸売市場の皆様の腕にかかっていると思います。これまでも地道な取り組みを日々重ねてこられたと思いますがぜひ合理化・効率化や利便性の向上、また本日取り上げましたサスティナブルな食の推進についても、市場のもともと持つ需給調整機能を今後さらに充実させていくことなども通して様々な食の選択肢を増やしていくことに寄与していただくことや、市場の強みをさらに充実させ、広く都民や事業者への周知や発信、支援を行っていっていただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わります。


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