出産はゴールではなくスタート。その先の末長い子育て支援を。

先日、子どもたちの世話もありツイートするのみにとどまってしまいましたが、東京都が来年度予算で、新生児の出産にあたり10万円分の支援を行うというニュースが流れてきました。


これについてはコロナ禍における経済的不安などからの産み控えをされる家庭への「支援をする」というメッセージを発信するということですが、実際にはすでに同じ不安を抱えている中で今年3月までに出生した新生児には支援がないことや、出産直後の支援を手厚くしても出生率の低下そのものへの影響はそれほど期待されないことなどから、来年度東京都の税収が4000億円減収となるという見込みの中で、101億円の予算をあててこの政策を実行するということには疑問符がついてしまいます。

(ちなみに、来年度予算から、子ども家庭支援関連予算や私立学校助成関連予算は軒並み減額されるという財務局査定の結果が届いています。)


また、現物支給の子育て支援も、その後の具体的なお困りごとの解決や末長い各種子育てサポートにつなげてこそ意味があります。文京区で行われている子ども宅食(ライン登録した困窮家庭に食材を宅配しつつ、お困りごとなどを把握し行政サポートにつなげる)や明石市のおむつ宅配などはその意味で、真に長い目で子育て世帯に関わっていこうという気概が見えるものです。物品を支給しておしまい、ではなく、例えば「ワンオペで家事育児が大変で・・・」という方には在宅子育て支援のご案内ができたり、子どもに障害があるかもしれなくて・・という方や正社員ではないけれど保育園に預けたくて・・という方の相談に乗っていくこともできるのです。


東京都は今年度も、コロナ禍においてひとり親支援ということでカタログ配布と子育てグッズの支給という支援を行いました。このやり方についても、都としてその後のサポートにつなげられるよう取り組んでほしいという旨を伝えてきましたが、実際は実施主体は区市町村であり、東京都はカタログを発行し送付することで事業は終了してしまいました。それが、なんとも子育て支援を求めるご家族とのせっかくのつながりとなるものなのに、ともったいないという気持ちです。


さて、この政策は少子化対策というより「コロナ禍における出産の不安払拭」というものだと理解しつつ、本来の少子化対策とは、


子どもを産むことによって生じる女性への身体的・経済的・社会的不利益やコストをなくしていく

ということが非常に重要だと考えています。


またその前に、大前提として、少子化対策という言葉が私はあまり好きではありません。

子どもを産むかどうかや、育てていくかどうかということは個人や家庭の事情や考え方もあり、国や行政に対策されて進められるものではないと思うからです。


子どもが産めない、育てられない、ことにはそれぞれの理由や事情があります。

それでも子どもを産みたい、育てたい、という人へ必要な支援を行っていくことは大変重要ですが、子どもを多く産むことが素晴らしい、ということではなく、それぞれの選択を尊重していける社会になる必要があると考えます。


子どもを産みたい、という方が求めている支援には、どういうものがあるか。

それは、

子どもを産んでも子どもを産まない男性や女性たちと同じようにキャリア・仕事を続けていけること

であったり、

子どもを産んでから共に家事育児を支えてくれるパートナーや社会の支援が得られること

であったり、

どんな働き方でも、非正規やパートでも保育園に子どもを預けられること

であったり、

自分の得られる給与が多くなくても、子どもに十分な教育を与えてあげられること

であったりすると思います。


それは難しい言葉で言えば在宅子育てサポート事業や保育人材の宿舎借り上げ支援事業、幼児教育無償化や就学前教育、高等教育無償化や塾代助成事業、さらには「子どもを産んだら女性が頑張ることが増える」のではない社会を目指して、男性育休取得推進であったり長時間労働の是正であったり選択的夫婦別姓の実現であったり男女間の家事育児労働時間格差の是正であったりするのではないでしょうか。


森澤都議もブログに書いていますが、子どもを産み育てたいと思っていただく社会に、東京も日本もなっていかなければならないと感じます。

一人の大人、または二人の大人が、日々仕事をして暮らす中で本当に子どもを産み育てたいと思った、その結果が子どもの誕生につながるのであり、一律10万円分の現物給付がそのまま子どもの誕生につながるとは考えられません。


子どもを産み育てる、という選択は人の人生において、最も重大な責任を伴う選択の一つです。

産んだらあとは自己責任、子どもを立派な大学に入れて自立させるのは親や家庭の責任、と突き放すのではなく、その親や家庭が何かしらのサポートを必要としている場合にしっかりとそれを受け取れる社会になっていかねばなりません。


例えば同性パートナーの方々が事実婚などの方々と同じ待遇を受けられる東京にならなければ。

例えば障害のある方が能力を活かす就労につきながら、結婚し子どもを産み育てたいと望める東京にならなければ。

例えば生活困窮の方が住まいを得て安定して暮らしていくことができる東京にならなければ。

家事育児の負担が母親一人にのしかからない東京にならなければ。

出産や育児が、産む人・育てる人のキャリアを断絶させない東京にならなければ。


東京の出生率は上がっては行かないのだと考えています。

出産は、あくまでも子どもを育てる、子どもと暮らすという長い子育て期間の入り口、スタートです。ここはゴールではなく、行政としても「産んで貰えば目的達成」ではなく、「それから後の支援をスタートする機会創出の時」として捉えるべきです。


国へ求めること、

東京都へ求めることを整理しながら、明石市など出生率をあげることに成功している自治体の取り組みや都内自治体の状況の調査を行っていきたいと思います。


引き続き皆様からのご意見を、お待ちしています。

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