罰則強化は感染防止対策になるか?

本日通常国会が開会し、時短営業や休業要請への協力を行わなかった事業者への罰則の強化なども含めた特措法の改正の議論が始まります。


行政の要請の実効性を上げるために、特措法の改正が必要であるということは昨年の春頃から言われていました。

ではそのよく言われる「事業者に時短営業や休業を要請する実効性を上げるため」という弁ですが、実効性とは何か、どうしたらそれを上げることができるのかということが、実はこの昨年の春頃と今とでは大きく状況が変わってきているということを感じています。


実効性とはまさに「効力」のことです。

要請をして、それに応えてくれる事業者や国民がほとんどいないという状況では、政府や国や知事がいくら「休業・時短営業要請」「不要不急の外出自粛要請」をしたとしても、その効果(=街中の人の流れが抑えられるかどうか)には限りがあります。

知事や政府の要請に応えずとも、外出や時短なしの営業を続けたとしても、なんら師匠や影響はない、というのが今の特措法のもとでの現実でもあるからです。

そこで、応えてくれる事業者や国民をより多くするためには、罰則の強化なども盛り込んだ特措法の改正が必要だ、という議論がここで生まれてきます。


ただ、この法律に基づいた罰則の強化には殊更慎重に議論する必要があると考えます。

その法律改正の「目的」がなんなのか、またその罰則強化などの改正によって本当にその「目的」が達成されるのか、ということは突き詰めて議論してゆかねばなりません。


今回の特措法改正でいうと、感染拡大防止を目的、つまり人流を確実に抑制することを目的として、行動制限の要請に従わなかった場合の罰則を設けるという議論が始まるわけですが、


行動制限の要請に従っていない人たちや事業者の、従わない事情、従えない理由は何なのか、その部分の理解や把握をせずに、ただただ罰則強化を行ったとしても、人流は抑制されるとは考えられません。


要請に従えない・従わない外出や営業を続ける人・事業者には、それをしないと生活できない、給料がもらえない・払えない、事業を継続できない、などの事情がある人も多くいることがわかっているからです。


雇用調整助成金や休業補償が届いていないフリーランスやパート・アルバイトや学生などの方々も多くいる中で、全く生活を継続していく余力がなくなり、安い住居や新たな仕事を求めて街へ出ている人も多くいる状況です。(私のもとにも、ひとり親の方からイベント開催制限により非正規の仕事がゼロになってなんの補償もない、大学生であるお子さんもバイトがなくなり精神的にも不安定になり始めている、という悲痛な訴えが届いています。)


ただただ外出自粛をしていても、仕事や生活が不安だという方や、このままではスタッフに給与が支払えず店をたたむしかないという事業者に本来必要なのは自粛要請に従わなかった場合の罰則規定ではなく、最低限の衣食住や事業の継続が保証される支援や協力金・給付金なのではないでしょうか。

(また、都の協力金や国で検討されている給付金も、対象が限定された業種であったり、一方その業種には規模などを問わずに一律給付であったりと、スピードを重視するからとはいえ大変お粗末な内容です。この点についても、東京都に改善を要望してきています。)


罰則規定が例え成立し、適用されても、罰則に該当しようとも事業を続ける、仕事を続ける、という方や事業者も出てくるかもしれません。それはなんらかののっぴきならない状況や事情が、その方や事業者側にある可能性もあると考えて、あらかじめ罰則規定の実効性そのものを疑う必要もあると私は考えています。


また、報道によると陽性者が療養要請に従わなかった場合の罰則の強化も検討されているとのことですが、

そもそも現在東京都などの都市部では自宅療養者の数が最も多く、入院調整や療養調整中の方が8000人近くにも上っています。自宅療養中の方も、9000人以上。

療養が必要とする陽性者の方々が療養できる施設や体制をまず準備することが、行政がやるべき最優先の対策です。

これまで何度も提出してきている宿泊療養施設の中規模のものも含めて地域で展開されるように支援すべきという項目も含め、無所属東京みらいとして15日に緊急要望を都知事に提出致しました。


保健所の民間人材活用などもそうですが、

まだできることが十分に取り組まれていないと感じることもある中で、

罰則の強化などの議論のみが今後、東京都において拙速に進められることがないようにしっかりと注視していきたいと思います。


最後に、緊急要望の全文を記しておきます。

引き続き、皆様からのご意見をお待ちしております。


*「新型コロナウイルス感染症対策」に関する緊急要望(第15弾)*

緊急事態宣言が発令されてから1週間が経過しましたが、残念ながら昨春の宣言時と同じような行動変容には結びついておらず、これまでとは異なる角度からの対策が必要だと考えます。また、特に検査・療養・医療提供体制について、急激な感染拡大に対応できていない状況に鑑み、都立3病院の専門病院化のみならず民間医療機関も含めた抜本的な体制の見直しも迫られており、支援策や人員体制も含めた検討を早急に進める必要があります。

 私たち無所属 東京みらいでは、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図り、あらゆる方々の暮らしと命を守るために、適宜効果検証と対策の見直しを繰り返すことが重要であると考えています。

 そこで、小池百合子東京都知事と藤田裕司東京都教育長あてに1月15日付で、以下の緊急要望(第15弾)を行いました。

【検査・療養・医療提供体制について】

・都立病院の新型コロナ専門病院化にあたり、現在の入院・通院者への転院等のサポートに万全を期すとともに、今後生じる救急患者の受け入れにあたっての調整業務を支援すること。

・都立病院の新型コロナ専門病院化にあたっては、さらなる特別手当の検討、業務に集中できるよう食事の提供や宿泊施設の確保、清掃・消毒・介護等の業務について外部委託を進めるなどして、対応にあたる医師・看護師等の肉体的・精神的負担を軽減するよう最大限の配慮を行うこと。

・民間医療機関における新型コロナ患者の受け入れにあたっての課題を整理し、必要な支援を行うこと。

・新規陽性者の入院療養調整や患者の搬送、感染経路の積極的疫学調査などの保健所職員の増大する負担を軽減すべく、民間人材の活用も含めたより一層の人員強化を行うこと。

・都庁職員自らが行っている宿泊療養施設の運営における飲食や清掃・消毒・介護等の業務について、これまでの取組を整理し、契約内容も含めたガイドラインを作成し、民間への委託を進めること。

・区市町村などが確保可能な小規模・中規模の宿泊療養施設の設置についても都として予算や物資の面で支援を行うこと。

・自宅療養者が増えていることに鑑み、都内自宅療養者のサポートをオンラインで行う専門チームを設置するなどして対応にあたること。

・国では、新型コロナの陽性者が療養に従わない場合の罰則が検討されているが、現時点で入院療養の調整業務が滞っている実態把握や人員強化も含めた体制の見直し、陽性者の療養支援や生活支援を最大限に行うことが先である。その上で、罰則が最も効果的な対策なのか否かという視点を含めて都としても検討を行うとともに、必要な支援を国へ要望すること。

【外出自粛について】

・内閣官房の人流データによると、緊急事態宣言が発令された後も人流がさほど減っておらず、このままでは2月7日時点で感染拡大をおさえることができないとの意見もある。都では、区市町村の協力を得ながら呼びかけを強化しているところであるが、周知の強化ではなく、行動を変える後押しをしなければならないのが実情である。本当に伝えたいメッセージが伝わっていない可能性や要請に納得していないから応えないという心情、呼びかけに応じられない個別の事情があることを念頭に、対策の見直しを図ること。

【テレワークについて】

・テレワークについては、個別企業や職場に任せているだけでは進まない現状、また、取引先との関係性などからテレワークをしづらいという指摘もあることから、業界別にテレワークですべきこと、できることなどをガイドラインでまとめ、各業界として7割出勤数減を目指していただくこと。

【飲食店等への要請・協力金等について】

・時短要請の協力金支給の対象について、感染拡大防止の効果を最大限に発揮する為にも

中小企業や個人事業主に限定せず、1都3県で足並みをそろえ、中堅企業や大企業が経営する店舗についても支給を行うこと。

・夜間帯の時短営業要請に加えて、日中の時間帯の自粛をお願いしている現状においては、飲食店等に対してはテイクアウトやデリバリーを除く休業要請と営業補償をセットで行う対策をとること。

・現在の協力金については、店舗の規模や業態等に関わらず一律の支給となっていることから過剰となっている店舗と不足となっている店舗があり、不公平で納得がいかないという声がある。そこで、昨年度の売上や家賃に応じて支給額を決定する仕組みに変更すること。

・国では、緊急事態宣言の影響を受ける事業者への新たな給付金を検討しているとのことであるが、文化やスポーツイベントの関連事業者やアーティストなど、都内経済の実態に鑑み、より幅広く対象とするよう国に求めること。

・国の家賃支援給付金については、テナントのみならずビルオーナー等の事業継続にとっても重要であることから、継続して支援を行うよう求めること。また、国の家賃支援給付金の申請について、特段の事情がある場合は延長を認めることから、都の上乗せ支援についても合わせて延長を認めること。

【受験生への支援について】

・新型コロナの影響が長引く中で受験を迎える受験生(小中高校生)の不安を軽減するためにも、コロナ禍における受験上の注意や追試験の日程などを分かりやすく情報発信すること。その際、私立学校についても同様に分かりやすく情報発信するよう求めること。

・受験生が万全の体調で受験を迎えることができるように、オンラインを活用した授業や個別指導、進路指導やメンタルケアを強化すること。

・1月16日17日に行われる大学入学共通テストや2月1日2日3日に集中する中学受験などに伴う受験生の公共交通機関の利用に配慮し、企業に対して、より一層のテレワーク実施や都民の外出自粛の要請を行うこと。

【学校について】

・分散登校を実施する学校について、オンライン授業が活用されておらず、私立学校に通う生徒や学習塾に通っている生徒等との学習の進度に大きな差が出ているとの声が寄せられている。昨春の一斉休校の反省を活かし、家庭環境等による学習機会の格差が生じないように工夫して取り組むこと。

・授業や面談等について、各学校におけるオンラインの活用実態について早急に把握し、実施できていない学校や教員について適切な指導や支援を行うこと。

【緊急事態宣言の期間について】

・事業者にとっては、緊急事態宣言後の経営計画の策定をすすめているところであり、2月7日移行の見通しを明らかにしてほしいとの声がある。緊急事態措置の強化、延長、一部解除、解除などの想定される状況について、その基準と今後の見通しを示すこと。

【議会の開催について】

・緊急事態宣言は、飲食店のみならず、広く都民の社会経済活動をとめる要請であり、感染拡大防止のためとはいえ、都民生活には甚大な影響が出ている。中でも、女性や若者、障がい者など、雇用において不利な状況にある非正規雇用やパート、アルバイト等の方々への住まい確保や生活支援が不十分であるとの声もあり、議論すべき課題は非常に多い。1,500億円をこえる予算を専決処分で決定したことについても、すでに多くの問題が指摘されており、知事及び都庁が全ての責任を負えるものではなく、また、議会の審査を通じてより良い制度設計を目指すべきという視点からも、議会の審査・決定は必要である。そのような視点から、すでに千葉県、埼玉県、神奈川県では開催したように、東京都においても臨時議会を早急に招集すること。

以上

斉藤れいな(さいとうれいな)公式サイト

東京都議会議員 南多摩選挙区選出 斉藤れいなの公式ホームページです。