東京都の予算は、人を幸せにすることができるのか。

東京都の令和3年度予算案の概要が公表されました。

東京都の財務局のホームページで、各局の主要事業なども見ることができます。


数多くの新規事業に予算がついておりますが、

私が注目しているのは、

「この予算や事業で、人の暮らしはどうなるだろうか」

「東京都に暮らす人たちは、より幸せになれるだろうか」

という点です。


一昨年、ニュージーランドで「幸福予算」なるものが計上されたことが世界的に話題になりました。

子どもの貧困を減らすための取り組み、

自殺や抑うつなどを予防するメンタルヘルスへの支援の強化、

家庭内暴力(DV)の解決などに多くの予算を割いたことは、その予算執行による政策効果の図り方に困難だという指摘が集まったものの、さまざまな問題を抱える「人」や「家庭」への支援を強化することで人の暮らしをより良いものにすることを目指す、いわゆる「負」の「未然防止」への予算配分であるとして、大変評価を受けて注目を集めていました。


予算の検討や政策立案の過程において、「人口」「出生率」「経済成長率」「税収入」などの数字を並べてその自治体の経済的な成長=豊かさを確保するという目標のもとに議論が進められることが多々ありますが、ニュージーランドの幸福予算のすごいのはその着目点を経済的な成長を表すこのような数値ではなく、生活の中身の質へとシフトして、言うなれば「国民にとってのマイナスをゼロにするために必要な政策は何か」ということを議論した結果、精神疾患や子どもの貧困、DV、また雇用やエネルギー、住宅や健康など多岐にわたる項目で新たな施策を開発するに至った、という点です。


数字だけでは見えてこない、見逃されがちな、そこに暮らす人一人一人の幸せ、また悩みや困り事。

その、悩みや困りごとを減らしていくという予算を「幸福予算」とするならば、東京都予算にもぜひこのような趣旨の予算を増やして行っていただきたい、と切に感じています。


東京都の令和3年度予算では、その意味で、私がもっとも期待し着目しているのは福祉保健局の「東京都児童相談所と子ども家庭支援センターの連携による予防的支援の推進・とうきょうモデル事業」という新規の事業です。(全体の15.2兆円という数字に対して、1億円ほどの事業ではありますが。。。)


これまで会派としても私個人としても繰り返し申し上げてきた、児童虐待の対策としては虐待が起きてしまってからの措置や保護を強化することではなく、予防的な支援を何よりもきめ細かく丁寧に行っていただきたい、という本質的な子育て支援について、今年度の専門部会での議論も受けて、新たにこのモデル事業を立ち上げることになったものであり、このこと自体はとても意味のあることと感じています。


母子保健のあり方や子育て支援の中身が大変手厚く保健士や児童福祉士などの人材配置も桁違いなヨーロッパや北米などの施策との比較も行われ、検証されてきた中で、やはり「家庭内での困り事や問題について、早期にどこかの機関が察知し、適切な支援へと繋げることが重要」ということは確実です。


都内では23区内では自前の児童相談所を設置する自治体も増え始めていますが、とくに家庭支援を担う子ども家庭支援センターが区市町村に、虐待対応や児童保護措置も行う児童相談所が東京都に管理運営されていることで、それぞれの情報共有や提供、施設入所の調整や地域に戻ってからの支援などにも対応がまちまちであることがあったり、結果として、見過ごされてしまった虐待の被害児童さんが生じてしまっていたこともありました。


今後は、いかに「措置や保護」の手前の、「家庭支援」を強化していけるか、という意味で、このモデル事業には大変期待を寄せたいと思います。

一方で、区市町村などの窓口にもつながっていない、無戸籍者などの実態を把握するための予算措置や区市町村支援なども行うべきで、そういった「こぼれ落ちてしまっている家庭」にリーチすることができなければ、いくらこのような新たな体制をとっていったとしても、悲しい虐待の事件はなくなることはありません。


また、他に注目している予算としては、自殺対策とも言える、「心と命を守るための支援・相談体制の強化」も大変重要です。

こちらは若年層や中高生なども含めて、相談体制の強化や充実を時間的にも体制的にも、全方位的に行うものです。SNSでのDV相談が通年実施になったり、中高生向けSNS相談も時間が深夜23時まで受け付けられることとなります。

この相談体制の強化は、ただし、必要最低限の施策であって、充分とは呼べるものではありません。

自殺企図者やメンタルの不調をきたす方が増えていますが、相談をしない方も一定数(しかも多数)いる中で、本来は根本的にその方達の悩み〜学業継続や就労・雇用の悩み、経済的なことに関するお悩みなど〜を解決していくことが必要であると考えるからです。


緊急事態宣言の継続もあり、雇用の厳しさはもっとも弱い立場にある非正規やパートの労働者、子供を抱えるひとり親など、また学生アルバイトなどを中心に押し寄せているということが、多くの民間支援団体の方からも寄せられます。


住まい確保の支援として東京都のチャレンジネットの住宅提供はさらに3月の緊急事態宣言の期限までの延長がされるということですが、ここはあくまでも一時的な住まいの提供でもあり、特にお子さんのいる家庭や学生などはそもそも仕事がないことで、今までの人生で築いてきたものを失わざるを得ないような状況にも陥っていると伺っています。


東京都の予算は、人を幸せにすることができるのか。

私からはそのような見方で、しっかりと予算審議を行い、「まだ検討中」と言われることも多い各事業の詳細について、さまざまな提案を重ねていきたいと思います。


引き続き、幅広くご意見をお待ちしております。


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