都立高校の男女別定員は、女子生徒の学ぶ機会を阻害している?問題について

受験シーズンも佳境となり、都立高校の受験も始まっています。


皆さんは、都立高校の男女別定員というものをご存知でしょうか。


これは例えば、入学する生徒さんの数を男子50名・女子50名、などと男女の性別に分けて定員を設定している制度のことです。


東京都以外の道府県では公立高校の男女同一定員制度が進んでいることや、入学試験の際に性別欄を廃止したという自治体があるという報道もある中で、東京都において男女別定員が引き続き制度として取られていることに、私は今期の都議会で繰り返し質疑を行ってきました。

最初に取り上げたのは2018年10月、文教委員会においてです。

取り上げるきっかけの一つとなったのが、東京医大の女子受験者の減点のニュースを見たことでした。


普通に試験を行うと女子の合格者が多くなってしまうが、女子はその後の結婚や出産を経ての離職率が高いため、意図的に入学試験において女子の点数を減点、もしくは一部男子生徒の点数を加点し、女子学生の合格者数を抑制していたというこの問題。


社会における男女平等、女性活躍を謳っておきながら、

そもそも活躍の一つの入り口である大学に入れるかどうかのところで女子が女子だという理由それだけで減点をされている。衝撃のニュースでした。


一方で、この衝撃のニュースが東京医大だけの話でもないという事実にぶつかります。

冒頭にも書きましたが東京都の都立学校でも、男女それぞれ別の募集定員を決めて毎年入試を行なっていますが、聞くところによると、一部高校では女子の合格基準点が男子より相当高いということや、女子の倍率が男子の倍率よりも高くなっているというようなことを知りました。


そこでまず、所属していた文教委員会において、都立高校で男女別に募集定員を定めていることについての考え方、募集人員の決め方を伺いました。


この時の答弁はこうです。


教育部長 「都教育委員会は、男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を生徒に理解させ、その具現化を図るためには、男女比が大きく偏らない学習環境が大切であると考え、全日制普通科の募集定員を男女別に定めております。

 また、都立高校の募集定員は、都内公立中学校第三学年の男女比率をもとに算出しております。

 男女別の募集を行っている都立高校の中には、入学者選抜において、男女により合格者の総合成績に差を生じる場合があることから、校長の具申に基づいて、募集人員の九割までを男女別に合格者を決定し、残り一割に当たる合格者を男女合同で決定する、男女別定員制の緩和を実施している学校もございます。」


このように、都教委としては「男女比が大きく偏らないこと」が男女平等の理解のために必要と考えていること、

また募集定員は「公立中学校を卒業する3年生の男女比率を元に算出」ということ、

さらに「募集人員の1割は男女合同で決定する緩和枠を設けている」ということが明らかになりました。


この答弁で分かることでもあるのですが、募集定員は卒業する中学3年生の数をもとに設定されています。が、答弁で触れられていないもう一つ重要な要素があります。それは東京都においては私立高校が全体の55%と大変多く、特にそのうち私立女子高は全体私立高校の3〜4割を占めるという特別な地域事情があります。


つまり、実際には公立学校側だけで男女の生徒受け入れ数を決定することはできず、

東京都では毎年公私連絡協議会という会議が開催され、そこで高校一年入学者数の公立私立生徒数の割合などが協議され、決定されています。


ちなみに例えば2019年に開催された公私連絡協議会において、「第5時中期計画」の合意が行われ、

「令和2年度から令和6年度までの公私分担は、現行分担率都立59.6:私立40.4を基点分担割合とする」

ことが決定されています。


また、このほかに東京都立高等学校入学者選抜検討委員会において、毎年入試の成果や課題を話し合い、改善策について検討が行われていますが、この中で緩和枠の設定だけでは倍率や基準点の格差を完全に是正できるものではないため、男女合同定員制について本格的に議論を進める必要がある、ということは兼ねてから明言されています。




中学校校長へのアンケートなどでも、例えば都立高校入試を男女合同試験(男女それぞれの定員とせず、男女合わせての定員として試験を実施すること)とした場合、入試の段階で比較的高得点を取ることができる女子生徒が都立高校へ進学するケースが増えてしまい、その結果私立女子高から生徒を奪う形になってしまい、私立女子高の経営に影響が出てしまうのではないか、という意見などが寄せられて、東京都においては男女別定員制の入試制度それ自体を変更させるという議論には大変ハードルがあるということが示されてきました。


2019年6月、私は文書質問で本件を再び取り上げました。

その際には、もっとも伝えたかった、「性別により学ぶ機会が得られないということがないように、またそのような生徒が生じてしまわないように」という想いを込めて、以下の質問をしました。


「都立高校の入学者選抜制度における男女別定員については、47都道府県において東京都のみに残る制度といえる。男性も女性もLGBT等性的マイノリティの方々も、誰もが輝くダイバーシティを目指す東京都において、性別によって学ぶ機会に差異が生じることがあってはならないと考えるが、見解を伺う。」


これに対しては、結論としてはほぼ前回の質問を変わらないご答弁をいただきました。


答弁「都立高校のうち、島しょの高校等の一部を除く、全日制課程・学年制・普通科の高校においては、毎年5月1日現在の都内公立中学校に在籍する第3学年生徒の男女比率を基に、各校の男女別募集人員を策定し、公表の上、入学者選抜を実施しています。

 男女別の募集を行っている都立高校の中には、入学者選抜において、男女間で合格者の総合成績に差が生じる場合もあることから、募集人員の9割までを男女別に合格者を決定し、残る1割に当たる合格者を男女合同で決定するなど、性別によって学ぶ機会に差異が生じることがないよう配慮しています。」


現在、合格者のうち1割を男女合同の枠とするという緩和枠をとっている都立高校は40校(最新では42校)となっています。

けれども、繰り返しになりますが、この緩和は完全に男女の倍率差や合格基準点の格差を是正するものではありません。


さらに、女子にとってもっと厳しい状況が都立中高一貫校の合格基準点の格差にも現れてきている、というお話も伺っていることもあり、


今週の都議会定例会一般質問で、奥澤都議がこの問題について最新の状況や都の対応について質す質疑を行います。


私学は私学の良さがあり、また女子校には女子校の良さもあります。

私自身は私立女子校の出身であり、私立 対 公立 という議論をしたいのではありません。

もしも都立高校の男女合同定員化を進めた結果、私立女子高を中心に私立高校が運営継続に当たり厳しさを増すようなことが起きるのだとしたら、改めてそれは東京都の私学振興の継続についての課題としてとらまえて私学の建学の精神を奨励していくためにも、十分な支援を行なっていくべきです。


一方で、経済的な理由やさまざまな理由から都立高校を第一希望とする生徒も多い中で、

女子と男子で合格できる最低ラインが大きく開きがあるということ、

また倍率も大きく異なるということは男女平等を謳う都教育委員会の実施している入学試験としては矛盾している制度だと言わざるを得ません。

一部学校では逆に、男子の合格点が女子よりも高くなっているというお話も伺います。

他道府県ではすでに、性自認の多様性を鑑み、入学試験における性別欄すら廃止している2021年において、ぜひ女性活躍のみならず性の多様性の活躍の観点からも、東京都にはこの問題に真剣に向き合い、実質的な検討を進めていっていただきたいと思います。


引き続き、幅広くご意見をいただきたいと思います。

奥澤都議の一般質問は2月26日金曜日です。

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