厚生委員会質疑、本日は病院経営本部です。

本日は新年度予算、補正予算、また東京都新たな病院運営改革ビジョンについて質疑を行う都議会厚生委員会がありました。

私は都立・公社病院の一体的な独立行政法人化についてはこれまで視察や現地ヒアリングを通して重ねてきた質疑の積み重ねに逆らう意見等が特段あるわけではなく、今回改めて確認させていただいたのは「麻酔科医等の行政的医療に資する貴重な人材の確保に向けて」「看護師の復職支援、またタスクシフティングを推進するための看護補助者の雇用について」「医療的ケア児童等の在宅医療の体制構築について」「地域医療への連携のためICTを活用してゆく取り組みについて」などについて伺わせていただきました。


少子高齢化が進む中でも、医療体制の確保と人材確保、また最先端技術の活用は待ったなしです。

今日は要約するパワーが残っていませんので、申し訳ありませんが私の質問と答弁全文を載せさせて頂きます。


明日は福祉保健局関連です。

しっかり質疑して参ります!


以下、質疑です〜

昨年3月の委員会でも触れさせて頂いた麻酔科医についてまず伺います。様々な医療人材の中でも、手術の実施件数が増え、麻酔を受ける患者は増加している中で麻酔科医の不足は近年社会現象とも言われています。麻酔の診療報酬点数は1996年から2016年の20年間で実に約10億点から約30億点にも迫る勢いであるともされており(社会医療診療行為別統計)、一方で麻酔科医は増加傾向にはあるものの他の診療科と比べるとその人数が最低であることがわかります(医師・歯科医師・薬剤師調査・厚生労働省)。

国家試験を合格した医師は医療法上、自分が進む診療科は自由に標榜することが認められていますが、麻酔科医については医療法施行規則において標榜するための基準が設けられています。つまり麻酔科医は他の外科や内科と違い既定の資格取得や研修を経なければ標榜医になることはできないとされています。またその後に標榜医が審査を経て認定される認定医、認定医取得後に臨床研究などの実績も持つ専門医、さらに専門医で指導実績もある方のみが審査を受けられる指導医と段階が分かれています。麻酔科医の標榜医は現在14000人ほどであると言われていますが、そのうち常に麻酔に従事する医師は一部であり、全国の総合病院のみならずクリニック等含めた全ての医療機関において、麻酔科医を確保するための競争が熾烈を極めているという前提に加え、麻酔科医の属性として30代の医師が多い(全体では40,50代が多い)ということと、女性医師の占有率が高い(全体では女性割合は20.4%、麻酔医は37.6%)という現実があります。麻酔科医は手術中の麻酔医療が中心となるため、周術期に患者に接することが基本で原則として患者の主治医にならないことから、業務のオンオフが切り分けやすい、つまり生活面で家庭との両立がしやすいとされていることも女性医師が多い理由と考えます。ですが昨年も指摘させて頂いたように、子育て中の女性医師には働く時間が限られている中、週に3日同じ場所で働かなければ専門医の資格が継続できない、かつ都立病院が兼業を禁止としている中で他の医療機関からお声がかかりそちらに移ることを決めた、という例は少なくありませんでした。

全身麻酔のみならず局所麻酔、また緩和ケアにおける活躍も求められる大変貴重な人材であることから、行政的医療を担う都立病院にこそ、麻酔科医の確保は積極的・かつ戦略的に進めていただきたいと考えます。

Q (独法化後、)行政的医療の提供の一環として、重症度の高い救急患者等の受け入れを強化するために必要な麻酔科医等の機動的な確保をいかに図っていくのか、伺う。

・ 麻酔科医など全国的にも限られた人材を確保するためには、採用困難性や専門性などを考慮した勤務条件などの整備が必要

・ 地方独立行政法人化後は、給与や勤務時間などについて、法人の規則等で病院の実情に応じて独自に設定することが可能

・ こうしたメリットを活用し、専門性を反映した人事給与制度や、仕事と育児、仕事と研究等との両立など、様々なニーズに対応できる勤務制度の構築により、働きやすく働きがいのある環境を整備

・ また、法人の裁量により柔軟な人材配置も可能となることから、医師事務作業補助者の配置等によるタスクシフティングをさらに推進し、医師等の医療スタッフの負担軽減を図る

・ こうした仕組を検討することで、機動的に麻酔科医等を確保し、救急患者等の受入れ体制の強化を図るなど、医療ニーズに即応した医療提供体制を整備

お答えいただいた仕事と育児、仕事と研究の両立は大変重要であると考えます。麻酔科医の確保については学生への働きかけや保険診療上の働きかけに加え、女性医師の働きやすい環境整備や休業状態から復帰しやすい環境整備が必要であると日本麻酔科学会も提言を行っています。都立・公社病院の独法化が麻酔科医人材の確保に資する取り組みとなることを期待します。

次に看護師の人材確保について伺います。

知事の施政方針を受けて、改めて独自に都立病院の看護師さんに話を伺って来ました。

離職した看護師が急性期の病院での復職を希望しても、ブランクにより不安があるため療養や介護に近い医療施設等でしか復職できない、急性期の病院は療養型病院よりも募集が少ないという話を聞いている。

人材が不足する中で、希望する職場への復職を支援していく取組が求められている。

Q 都立病院として、どのように取り組んでいくのか、伺う。

・都立病院では、新人からベテランまで一人ひとりの習熟段階に応じて、キャリア形成を組織的に支援するなど人材育成に取組

・急性期病院で勤務するために必要となる知識や技術を指導するノウハウを擁す

・将来的に医療の担い手が不足することが見込まれる中で、都内の看護人材の確保・育成に貢献できるよう、「新たな病院運営改革ビジョン(素案)」では、都内での復職を希望する看護師に研修など復職支援を実施

いわゆる看護師の方々にとっての求職ニーズと病院にとっての求人ニーズのミスマッチの問題には、看護師の方の仕事が多岐にわたること、従事する医療機関によってはその負担がかなり大きくなっていることにも関わりがあるというように伺っています。

看護師は、診療の補助といった看護業務のほかにも食事や入浴、移動などの療養生活上の世話、病室内の環境整備など多岐にわたる業務を担っているため、多忙でありそれが離職の一因にもなっているとの話を聞いた。

離職を防止していくためには、看護師が看護職としての本来の仕事に専念できるよう、看護師免許を必要としない業務は看護補助者にタスク・シフティングしていくことが重要である。

そこで、都立病院における、看護補助者の導入状況について、伺う。

・医療現場ではチーム医療の実践が広がり、看護職員をはじめとした医療職が専門性を必要とする業務に専念するためのタスク・シフティングが推進

・平成27年度に多摩総合医療センターに看護補助者を配置、平成29年度に大塚病院、平成30年度に墨東病院と順次拡大

・また、来年度は墨東病院、多摩総合医療センターにおいて看護補助者の拡充を図る予定

看護補助者はちなみに独立行政法人化されている健康長寿医療センターでは独法化後に医療事務などの医療専門職が大きく増加し、医師や看護師がより専門性の高い診療や治療に集中することができるようになったということもあります。

都立・公社病院でも今後積極的に導入を拡大していってもらいたい。

地域医療について、まずは小児の在宅医療の受け入れ体制構築に向けた支援について伺います。医療的ケアを受けながら生活をする子どもを育てる家族にとって、入院中より退院後の生活について十分なサポートを受けられないなどの悩みがあることも多い。

地域での生活に必要な支援については、医療現場で対応してきた人材こそがその取組を発信し、関係機関や近隣自治体等と連携し、地域に繋ぐことで必要な体制を構築していく必要があると考える。

Q そこで、医療的ケア児などの在宅療養生活の支援について、小児総合医療センターのこれまでの取組と今後の展開について伺う

・ 小児総合医療センターでは、患者が身近な地域で療養を継続できるよう、関係機関との連携強化による在宅移行患者の受入れ体制整備等を行うことに加え、医療、福祉関係職員に対する技術指導などの人材育成に取組むことで、医療的ケア児の地域生活の向上に向けた取り組みを進めている。

・ 具体的には、小児総合医療センターの担当者が4自治体、10病院を訪問し、地域における在宅療養患者の受け皿の不足や、医療・介護職員の人材育成など、連携体制の構築に当たっての課題の把握を行い、個別の解決策の検討に取り組んでいる。

・ また、人材育成においては、医療的ケア児に対する様々な支援を総合調整する役割を担う「医療的ケア児等コーディネーター」の養成講座を平成30年度から実施し51名が参加、今年度は113名が参加している。

・ 今後は、昨年12月に実施した地域医療機関へのアンケート調査の結果を分析し、医療的ケア児の受入れに当たっての具体的課題の把握や地域のニーズが高い呼吸管理などの実技研修を実施するなど、在宅療養を支える地域の医療提供体制の整備を推進していく。

小児総合の医療的ケア児等コーディネーターのことなどもお答えいただきました。ちょうど今年1月に小児総合医療センターに視察に伺った際もこのコーディネーターについて様々な課題を拝聴して参りました。相談支援専門員がこのコーディネーターの資格を持って働いても支援計画作成などにわずかな加算がつくばかりで、実際はこの養成研修を受けてもコーディネーターとして働き続けられる方が少ないという現状があるということで、きめ細かな定着支援が必要であると感じています。

また、

昨年呼吸器を装着した3歳の女の子をもつ親御さんから、退院後の地域での在宅療養について、お住まいの地域での説明や要望に苦慮されている部分に看護師さんが間に入り尽力されている例がありましたがこれはご答弁いただきました小児総合以外の都立病院での話でありましたので、ぜひ小児総合の取り組みを他の都立病院へも広めて行っていただけますようにお願いいたします。

都立病院の専門性やノウハウをより広範囲な地域に展開するための取り組みについて伺います。

地域を支えるモデルとして、大塚病院では地域の病院で妊婦検診を受けリスク発生時には大塚病院で分娩を受け入れる産婦人科地域医療連携システム(大塚モデル)を構築しており、こうした都立病院の専門性を生かした連携を他の診療科にも広げていくことは有益と考える。

一方で、先日委員として出席した南多摩保健所協議会では精神医療における専門機関との連携にややご不安があるというような地域のお声を伺った。また、多摩地域はもとより、区部や都外からも多くの患者さんが来院している小児総合医療センターでは、入院されている患者を多摩地域のみならず区部等も含めた地域スムーズに繋ぐため、医療機関等へのきめ細かい支援も非常に重要であるとご意見を頂いて来ています。そこで、

Q 松沢病院や小児総合医療センターなどの専門病院においては、その専門的な知見やノウハウを当該地域のみならず、都内全ての地域に横展開していくことが必要と考えるが見解を伺う。

・ 精神医療や小児医療などの専門病院において蓄積してきた知見やノウハウを活用し、都全域の医療水準の向上に貢献していくことは非常に重要であると認識している。

・ この考え方に基づき、具体的な取組として、例えば松沢病院においては、松沢病院の持つ医療資源を地域で活用するオープンシステムを導入し、区内のみならず区外や他県からの医師の登録のもと、松沢病院での外来や入院診療、医療機器の活用などを通じて多くの症例に触れることで、精神科医師の技術向上に貢献している。

・ さらに、認知症患者へのケアや身体拘束最小化の取組などの専門分野に対して、松沢病院の専門看護師や認定看護師が訪問看護ステーション等からの依頼に基づき訪問し、講義やワークショップを開催する「リソースナース」を実施しており、松沢病院の専門性の高い人材を広範な地域で活用している。

・ また、小児総合医療センターにおいては、都全域の医療従事者等を対象に、地域での小児在宅医療に活用可能な訪問支援や相談支援に関する医療・福祉資源等の勉強会や、こども救命センターのノウハウを生かした呼吸管理・急性期看護学等に関する講演会を開催するなど、受講者がそれぞれの地域に専門知識を持ち帰り、実践していくための取組を行っている。

様々な人材の活用や勉強会・講演会の開催などについて取り組まれているということでした。各学会でも推進されているe-learningの手法を活用することや地域医療との連携体制の構築に向けてICTを活用していくことについても、さらにスピード感を持って取り組んでいただく必要があると考えます。

そこで最後に、

Q 都立病院の患者が退院して地域に戻った後にも支援が必要であると考えるが、都立病院では、ICTを活用して、地域の医療機関と患者情報等を共有していく取組を今後どのように進めていくのか、伺う。

A(サービス推進部長)

・  都立病院と地域医療機関との間で、ICTを活用して地域に戻った患者の支援を行うことは、患者にきめ細かい医療を提供するうえで重要であると認識。

・  現在、一部の都立病院において、医療用コミュニケーションツールを用いて、地域の医療従事者との双方向のやりとりを通じて、病状などの患者情報の共有を図る取組を試行的に実施。

・  今後も、技術の進展を注視しながら、ICTを活用した地域の医療機関との情報共有に取り組む。

2017年2月、OECDのサイトに掲載されたグラフ「countries’ readiness to use electric health data for quality improvement」つまり「診療記録として蓄積されたデータを医療の質向上に活用する準備が整っているか」を2つの軸で評価したものによると、日本は縦軸(Data Governance)、横軸(Technical and Operaational)のいずれにおいても、ここに掲載されている23ヵ国の中で最低の評価を受けています。

電子カルテのデータを医療の質向上に活用すると、例えば電子カルテに蓄積されたデータを活用して、患者がかかりつけ医を選択する際に参考となる情報を公開したり、検査結果から診療の質を評価したり、エビデンスに基づいた効率的な予防接種を行なったりできることがわかります。これらの取り組みは、制度としての仕組み(=縦軸のData Governance)と、診療所のICT化(=横軸のTechnical and Operaational)の両方がそろって初めて実現できるとされていますので、東京都病院経営本部には中小の診療所のiCT化の障壁は何かと言った課題を抽出し、取り組みを進めて行っていただきたいと要望して私の質問を終わります。