#なぜBLが不健全図書指定されるのか 勉強会に参加しました

AFEE エンターテイメント表現の自由の会 主催のオンライン勉強会に参加させていただきました。

タイトルは「なぜBLが不健全図書指定されるのか」。

大学教授や研究者の方、議員や審議会傍聴者も参加して、東京都の青少年健全育成条例によって、設置されている青少年健全育成審議会の中で不健全図書の指定がどのように行われているか、またその運営や条例のどこに課題があるか、多角的に検証と議論が進められました。

私自身は2017年から委員を2年弱務めさせていただいていたこともあり、その時に感じていた疑問や葛藤も含めて冒頭挨拶でお伝えしました。


青少年健全育成審議会は東京都青少年健全育成条例の第四章、第19条以降にその設置や構成員について定められています。


例えばその組織については、

第二十条 審議会は、次の各号に掲げる者につき、知事が任命または委嘱する委員二十人以内をもつて組織する。

一 業界に関係を有する者 三人以内

二 青少年の保護者 三人以内

三 学識経験を有する者 八人以内

四 関係行政機関の職員 三人以内

五 東京都の職員 三人以内

2 専門の事項を調査するため必要があるときは、審議会に専門委員を置くことができる。

(平一三条例三〇・一部改正)


とされ、この学識経験者のうち4人が都議会議員から選出されています。男女比は特に図られていませんが、私が所属していた時には会長を始め、女性の委員も3割ほど在籍していたように記憶しています。


不健全な図書については、

第三章 不健全な図書類等の販売等の規制

に、その細かい内容の記載があります。実際には図書に加え、アニメ、がん具類、刃物等についてそれぞれ項目が設けられています。


その中でも不健全な図書の指定を抜粋します。


(不健全な図書類等の指定)

第八条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。

一 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等の著しく社会規範に反する性交又は性交類似行為を、著しく不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく妨げるものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

三 販売され、又は頒布されているがん具類で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

四 販売され、又は頒布されている刃物で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年又はその他の者の生命又は身体に対し、危険又は被害を誘発するおそれがあると認められるもの


この条例文に基づき、毎月100~200冊の審議対象候補図書から事務局(東京都都民安全推進本部)が選定した1〜3冊(大抵は2冊)が審議会にかけられ、指定該当もしくは非該当を委員一人ひとりに伺い決していく、というのが通常の流れです。


勉強会では、この際の「事務局が選定するプロセス・基準が不明瞭で非公開であることはまず第一の課題」という指摘がありました。

審議会には2冊の図書が上がってきますが、私も冒頭挨拶でも述べましたがその2冊と他の審議会にはあげられなかった100数十冊の図書との明確な違いが委員にはわからないまま、審議を行うことになります。

審議会にあげられる図書には「おそらくここが条例に抵触する」と思われる部分に全て付箋が貼ってあります。

それは例えば、事務局が「著しく性的感情を刺激する箇所」だと判断した箇所、

また「著しく社会規範に反する性交または性交類似行為を描写している箇所」だと判断した箇所などに貼られていることが多いです。

具体的には、「擬音」(絵の中で行為の音を表現する文字)の量や表現手法、また「ボカシ」(局部や性器などを隠すための網掛けや白抜き)の量などについて、事務局が「ここは擬音が多い」「ここはボカシが少ない」等の箇所を付箋を貼り、審議会までに準備をしています。

私もここに上がってこない他の図書との違いが気になり、伺ってみたことがありますが、事務局からは「主に、ここに上がる2冊が最も当該箇所が多いと事務局で判断したもの」という返答がありました。


この審議において難しいことは、「その表現は著しく性的感情を刺激し、著しく社会規範に反する性交または性交類似行為を描写しているかどうか」また「青少年に自殺や犯罪等を助長するものかどうか」を委員それぞれに主観や私情によらず判断しなければならないということです。


ですが、この判断をするにあたり、例えばBL作品が上がってきた際に「同性同士でこのようなことをする様子を、子どもたちには見せたくない」という意見が出てくることもありました。それはその委員にとっては主観であるはずなのですが、そのように考える保護者や親が多いはずだ、という発言が為された場合、それは審議会においては「保護者代表」のような取り扱いをされることとなります。


私自身は自分自身が自分の子供に積極的にそのページを開いて見せたいかどうか、で審議を行ってはいけないという立場から、指定該当の判断をする際にはその描写の何が本条例に抵触すると考えるかの根拠を示すようにしていました。また、私自身の判断では客観的に審議できているかの確証が持てないこともあり、審議会前に行われている自主規制団体への聞き取りの結果を加味しながら、そちらでの答申で「指定非該当」や「保留」が多い場合にはそれを参考に意見を申し上げさせていただきました。ただし、毎回本当に難しい判断を迫られてきたように感じていたことは事実で、悩み続けた審議会でした。


本質的には、何が子どもの健全な育成に資するか、

また何がそれを阻害するか、ということは、

本来子どもを育てる保護者や教育関係者の間でも多様な議論が存在するものであると認識しています。


一冊の図書を取り上げ、これは青少年の健全な育成を阻害するものであるかどうか、ということを審議する場合は、それほど多様な議論が介在するよう、議事録の公開や非公開部分の公開、また審議委員の選定方法等も含めて行政は選定のプロセスにおける透明性と公平性を担保する必要があります。


多様な議論の実現には、例えばBL作品を始め、作品のイマジネーションやファンタジーを与えられることによって、人生が助けられた、命が救われたというような体験をしてきた人の意見が体験の共有が行われることや、

そもそも漫画の読み方を知っている人がもっと審議に参画するよう運営のあり方を検討していくことが求められます。(これは昨日の勉強会で傍聴者の方から教えられた部分でもありました。)


昨日の会には会派のメンバー全員が参加したこともあり、運営の改善や条例の改正に向けて、議論・検討を進めてゆきたいと思います。


AFEEのみなさま、参加されたみなさま、また視聴された皆様、どうもありがとうございました。 



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